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相続した実家を売るときの3,000万円特別控除。昭和56年5月31日という関門と、二つの期限

基準日 2026年9月24日 ・ 確認 安井義幸

結論(要約回答)

空き家になった実家を相続した人が売った場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります[1]。令和6年1月1日以後に行う譲渡で相続人の数が3人以上である場合は、控除額は2,000万円です[1]。対象になる家屋は昭和56年5月31日以前に建築されたもので、区分所有建物(マンション)ではなく、相続の開始の直前において被相続人以外に居住していた人がいなかったものに限られます[1]。売却は相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに行い、売却代金は1億円以下である必要があります[1]。さらに、譲渡の時において一定の耐震基準を満たすか、家屋の全部を取り壊した後に敷地を売るかのどちらかを選ぶことになります[1]。この特例自体の適用期間は平成28年4月1日から令和9年12月31日までの譲渡です[1]。つまり期限は二つあり、一つは自分の相続に紐づく3年の期限、もう一つは制度そのものの令和9年末という期限です[1]。

結論の一覧表

項目 内容 出典
控除額 最高3,000万円 [1]
控除額(令和6年1月1日以後の譲渡で相続人3人以上) 2,000万円 [1][2]
対象家屋の建築時期 昭和56年5月31日以前に建築 [1]
対象外の建物 区分所有建物(マンション等) [1]
居住の要件 相続開始の直前に被相続人以外に居住していた人がいなかったこと [1]
譲渡の期限 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで [1]
売却代金の上限 1億円以下 [1]
建物を残して売る場合 譲渡の時において一定の耐震基準を満たすこと [1]
建物を残さない場合 家屋の全部の取壊し等をした後に敷地を売ること [1]
制度の適用期間 平成28年4月1日から令和9年12月31日までの譲渡 [1]

昭和56年5月31日以前の建物、という関門

答え: この特例の対象は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋です[1]。

根拠:国税庁は、対象となる被相続人居住用家屋について、昭和56年5月31日以前に建築されたもので、区分所有建物登記がされている建物でなく、相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったものに限る、としています[1]。

この日付は、建築基準法の耐震基準が変わった時期に対応しています。制度の目的が古い空き家を市場に戻すことにあるため、比較的新しい家は対象外です。実家がいつ建ったかは、登記事項証明書の表題部で確認できます。ここで外れると、以降の要件を検討する必要はありません。

もう一つの関門が「被相続人以外に居住していた人がいなかった」という要件です[1]。親と同居していた家族がいた家は、この特例の対象になりません。二世帯住宅や、子が住み続けている実家は当てはまらないということです。

建物を耐震改修して売るか、取り壊して土地で売るか

答え: 譲渡の時に一定の耐震基準を満たすか、家屋の全部を取り壊した後に敷地を売るかのいずれかです[1]。

根拠:国税庁は、特例の適用を受けるための要件として、譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること、または家屋の全部の取壊し等をした後に敷地を売ること、という選択を示しています[1]。また、売却後一定期間内に基準を満たす場合も対象とされています[1]。

古い家をそのまま売る場合、耐震基準を満たしていないことが多くなります。そのため実務では、売る前に取り壊して更地にするか、耐震改修するかの判断が先に来ます。ただし取り壊すと、翌年から固定資産税の住宅用地特例が外れる点には注意が必要です。この仕組みは誰も住まない実家を放っておくとどうなるかで扱っています。

なお、売却後に買主側で耐震改修や除却を行う方法も加わっていますが、当サイトでは適用の細目を公式資料で確認できていません。どちらの方法を選ぶかは税務署または税理士にご確認ください。

期限は二つある

答え: 自分の相続に紐づく3年の期限と、制度そのものの令和9年12月31日という期限です[1]。

根拠:国税庁は、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることを要件としています[1]。あわせて、この特例は平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売る場合が対象とされています[1]。

たとえば令和6年5月に相続が開始した場合、3年を経過する日は令和9年5月で、その日の属する年の12月31日は令和9年12月31日です。この場合は二つの期限が重なります。一方、令和7年に相続が開始した場合、3年の期限は令和10年末ですが、制度の期限が令和9年12月31日なので、先に来るのは制度の期限のほうです[1]。延長されるかどうかは現時点では確認できません。

不動産の売却は、買主を探して契約し、引き渡すまでに数か月かかることが珍しくありません。期限から逆算すると、動き始める時期は思っているより早くなります。

売るには、その前に相続登記が要る

答え: 相続登記は2024年4月1日から申請義務になっており、期限は取得を知った日から3年です[5]。

根拠:法務省は、相続登記の申請義務化について、相続によって不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないとしています[5]。

実務上の順序として、被相続人名義のままの不動産は売却できません。遺産分割協議をまとめ、相続登記を済ませて、はじめて売買の手続きに入れます。この工程に数か月かかることもあるため、3,000万円の特別控除[1]の期限を考えるときは、登記までの時間を含めて計算してください。詳しくは実家の相続登記は3年以内をご覧ください。

よくある質問

Q. 相続税を払った場合の「取得費加算の特例」と一緒に使えますか? A. 取得費加算の特例は、相続または遺贈により取得した財産を一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を取得費に加算できる仕組みです[4]。空き家の3,000万円控除との併用の可否について、当サイトでは公式の記載を確認できていません。税務署または税理士にご確認ください。

Q. マンションでも使えますか? A. 区分所有建物登記がされている建物は対象外とされています[1]。

Q. 相続人が3人います。控除額はどうなりますか? A. 令和6年1月1日以後に行う譲渡で相続人の数が3人以上である場合、控除額は2,000万円です[1]。

Q. 売却代金が1億円を少し超えそうです。 A. 売却代金が1億円以下であることが要件とされています[1]。分割して売った場合の取扱いなど、判定の細目は税務署にご確認ください。

Q. 手続きに必要な書類は何ですか? A. 確定申告のほか、市区町村が交付する被相続人居住用家屋等確認書が必要になります[2][3]。交付申請先と必要書類は市区町村によって案内が異なるため、実家のある市区町村にご確認ください。

Q. 売るか、持ち続けるかで迷っています。 A. 税制上の期限と、空き家として持ち続けた場合の管理・税負担は別の話です。どちらを重く見るかは家庭ごとに違います。判断材料の整理は保険の相談についてからご相談ください。

出典

  1. 国税庁 タックスアンサーNo.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm、2026-09-24参照)
  2. 国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)について」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001715179.pdf、2026-09-24参照)
  3. 国土交通省 住宅:空き家の発生を抑制するための特例措置(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000030.html、2026-09-24参照)
  4. 国税庁 タックスアンサーNo.3267「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm、2026-09-24参照)
  5. 法務省「相続登記の申請義務化について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html、2026-09-24参照)

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