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生前贈与は7年さかのぼる。暦年課税の加算期間の延長と、相続時精算課税の110万円

基準日 2026年9月23日 ・ 確認 安井義幸

結論(要約回答)

暦年課税で贈与を受けていた場合、相続や遺贈で財産を取得した人については、加算対象期間内の贈与財産が贈与時の価額で相続税の課税価格に加算されます[1]。令和6年1月1日以後の贈与について、この加算対象期間が相続開始前7年以内に拡大されました[1]。ただし経過措置があり、相続開始が令和9年1月2日以後の場合、延長された期間分(相続開始前3年超7年以内)については、その財産の贈与時の価額の合計額から総額100万円までは課税価格に加算されません[1]。完全に7年分が加算されるのは、相続開始日が令和13年1月1日以後の場合です[1]。一方で、相続時精算課税には令和6年1月1日以後の贈与から年110万円の基礎控除が設けられ、特別控除額2,500万円とは別に、毎年110万円までは贈与税がかからず相続財産にも加算されません[2]。贈与者は贈与の年の1月1日に60歳以上の父母または祖父母など、受贈者は同日に18歳以上の直系卑属である推定相続人または孫という要件があり[2]、いったん選択すると暦年課税には戻せません[2]。

結論の一覧表

項目 内容 出典
暦年課税の加算 相続等により財産を取得した者が加算対象期間内に贈与で取得した財産は、贈与時の価額で相続税の課税価格に加算 [1]
加算期間の延長 令和6年1月1日以後の贈与について、相続開始前7年以内に拡大 [1]
経過措置 相続開始が令和9年1月2日以後の場合、延長分(3年超7年以内)は総額100万円まで加算しない [1]
7年分がすべて加算される時期 相続開始日が令和13年1月1日以後 [1]
相続時精算課税の贈与者 贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母など [2]
相続時精算課税の受贈者 贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の、贈与者の直系卑属である推定相続人または孫 [2]
特別控除額 限度額2,500万円(前年以前に控除している場合は残額が限度) [2]
基礎控除 令和6年1月1日以後の贈与から年110万円 [2]
税率 基礎控除額110万円を控除した後の金額に一律20パーセント [2]
届出 最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に選択届出書を提出 [2]
撤回 選択した贈与者からの贈与は以後すべてこの制度が適用され、暦年課税へ変更できない [2]

暦年課税は「3年」から「7年」へ

答え: 令和6年1月1日以後の贈与について、相続財産に加算される期間が相続開始前3年以内から7年以内に延びました。ただし全面適用は令和13年からです。

根拠:国税庁は、相続や遺贈により財産を取得した者が加算対象期間内に暦年課税に係る贈与によって取得した財産があるときは、その人の相続税の課税価格にその財産の贈与時の価額を加算するとしています[1]。令和6年1月1日以後の贈与について、加算対象期間は相続開始前7年以内へ拡大され、相続開始日が令和13年1月1日以後である場合に7年分がすべて加算されます[1]。

経過措置として、相続開始が令和9年1月2日以後の場合、延長された期間分(相続開始前3年超7年以内)の財産については、贈与時の価額の合計額から総額100万円までは相続税の課税価格に加算されません[1]。この100万円は年あたりではなく総額です[1]。

つまり、いま贈与を始めても、加算される年数は相続開始の時期によって段階的に増えていきます。「今年から毎年110万円[2]ずつ贈与すれば7年分が加算される」と単純化すると、時期によっては実態と合いません。

なお、加算の対象になるのは「相続や遺贈により財産を取得した者」です[1]。財産を取得しない孫への贈与の扱いなど、対象になるかどうかの判断は個別の事情によります。税理士にご確認ください。当サイトは個別の税務判断を行いません。

相続時精算課税に、年110万円の基礎控除ができた

答え: 令和6年1月1日以後の贈与から、特別控除額2,500万円とは別に、年110万円の基礎控除が設けられました[2]。

根拠:国税庁は、相続時精算課税に係る基礎控除額110万円を控除した後の金額に、一律20パーセントの税率を乗じて贈与税額を計算するとしています[2]。特別控除額は限度額2,500万円で、前年以前に既にこの特別控除額を控除している場合は残額が限度になります[2]。相続財産に加算されるのは、贈与を受けた年分ごとに、相続時精算課税適用財産の贈与時の価額の合計額から基礎控除額を控除した残額です[2]。

改正前の相続時精算課税は「2,500万円までは贈与税がかからないが、全額が相続財産に戻る」制度でした。年110万円の基礎控除[2]ができたことで、その範囲内の贈与は相続財産に戻らなくなりました。暦年課税の加算期間が7年に延びたのと対照的な動きです。

適用対象者には年齢と続柄の要件があります。贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母など、受贈者は贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属である推定相続人または孫です[2]。

選択すると、戻れない

答え: 相続時精算課税は、いったん選択するとその贈与者からの贈与について暦年課税へ戻すことができません。

根拠:国税庁は「一度選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降すべてこの制度が適用され、『暦年課税』へ変更することはできません」としています[2]。選択にあたっては、最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に選択届出書を提出する必要があります[2]。

戻れないという点が、この制度の最大の論点です。父からの贈与について相続時精算課税を選んだ場合、その後に父から受ける贈与はすべてこの制度で扱われます。母からの贈与は別に判断できますが、父については変更できません。

どちらの課税方式が有利かは、贈与する財産の額、贈与する期間、相続財産の総額、相続人の数によって変わります。相続税の基礎控除額は3,000万円に600万円と法定相続人の数を掛けた額を加えた額なので[3]、そもそも相続税がかからない見込みであれば、判断の前提が変わります。選択の前に税理士にご相談ください。

いつから始めるかで、効き方が変わる

答え: 暦年課税は加算期間が延びたため、早く始めるほど加算の外に出る部分が増えます。相続時精算課税は年110万円の枠を毎年使えます[2]。

根拠:暦年課税の加算対象期間は令和6年1月1日以後の贈与について相続開始前7年以内に拡大され、相続開始日が令和13年1月1日以後の場合に7年分がすべて加算されます[1]。相続時精算課税の基礎控除は、贈与を受けた年分ごとに110万円です[2]。

どちらも「時間」が変数になっています。暦年課税は、加算される期間を過ぎるまで生きていることが前提です。相続時精算課税は、年110万円[2]の枠を何年使えるかで効果が決まります。

そして、贈与できる財産が現金だけとは限りません。不動産を渡す場合は登記が伴い、相続後の相続登記の義務とも関わってきます。相続登記については実家の相続登記は3年以内をご覧ください。

よくある質問

Q. 毎年110万円ずつ贈与していれば、相続税はかかりませんか? A. 暦年課税の場合、相続や遺贈により財産を取得した人については、加算対象期間内の贈与が贈与時の価額で課税価格に加算されます[1]。相続時精算課税の場合は、基礎控除額110万円を控除した残額が加算されます[2]。どちらも制度の内容によって扱いが異なるため、税理士にご確認ください。

Q. 経過措置の100万円は毎年ですか? A. 国税庁は「その財産の贈与時の価額の合計額から総額100万円までは相続税の課税価格に加算されません」としています[1]。年あたりではなく、延長された期間分の合計に対する総額です。

Q. 父と母の両方から相続時精算課税を選ぶ必要がありますか? A. 選択は贈与者ごとに行うものとされており、選択の効果はその贈与者からの贈与に及びます[2]。詳細は税理士にご確認ください。

Q. そもそも相続税がかかるかどうかは、どう見ますか? A. 相続税の基礎控除額は、3,000万円に600万円と法定相続人の数を掛けた額を加えた額です[3]。これを超えるかどうかが出発点になります。手続きの期限を含む全体像は親が亡くなったあと、何をいつまでにをご覧ください。

Q. 生命保険を使った準備はどうなりますか? A. 死亡保険金には相続税の非課税枠があるなど、贈与とは別の扱いがあります。贈与と保険をどう組み合わせるかはご家庭の事情によって変わるため、考え方の整理は保険の相談についてからご相談ください。

出典

  1. 国税庁「タックスアンサーNo.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4161.htm、2026-09-23参照)
  2. 国税庁「タックスアンサーNo.4103 相続時精算課税の選択」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm、2026-09-23参照)
  3. 国税庁「タックスアンサーNo.4152 相続税の計算」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm、2026-09-23参照)

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