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遺言書は、家庭裁判所の検認が要るものと要らないものがある。法務局に預ける制度

基準日 2026年9月23日 ・ 確認 安井義幸

結論(要約回答)

自筆で書いた遺言書は、保管していた人や発見した相続人が、遺言者の死亡後に遅滞なく家庭裁判所へ提出して検認を受ける必要があります[1]。検認は、相続人に遺言の存在と内容を知らせ、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における内容を明確にして、偽造・変造を防止するための手続きで、遺言の有効・無効を判断するものではありません[1]。この検認が不要になるのが、公正証書による遺言と、法務局において保管されている自筆証書遺言に関して交付される遺言書情報証明書です[1]。法務局の自筆証書遺言書保管制度を使うと、保管申請時に遺言書保管官の外形的なチェックが受けられ、原本に加えて画像データとしても長期間適正に管理されるため、紛失や亡失、相続人等による破棄・隠匿・改ざんを防ぐことができます[2]。保管の申請手数料は1件1通につき3,900円です[3]。申請先はお近くの法務局(遺言書保管所)です[4]。

結論の一覧表

項目 内容 出典
検認とは 相続人に遺言の存在と内容を知らせ、検認の日現在における遺言書の内容を明確にして偽造・変造を防止する手続。有効・無効を判断する手続ではない [1]
検認が必要なもの 遺言書の保管者または発見した相続人が、遺言者の死亡後に遅滞なく家庭裁判所へ提出 [1]
検認が不要なもの 公正証書による遺言/法務局において保管されている自筆証書遺言に関して交付される遺言書情報証明書 [1]
検認の申立先 遺言者の最後の住所地の家庭裁判所 [1]
検認の費用 遺言書1通につき収入印紙800円分、連絡用の郵便切手 [1]
保管制度の申請先 お近くの法務局(遺言書保管所) [4]
保管の申請手数料 1件1通につき3,900円 [3]
遺言書情報証明書の交付請求 1通につき1,400円 [3]
遺言書保管事実証明書の交付請求 1通につき800円 [3]
撤回・住所等変更の届出 手数料は不要 [3]

検認は「中身を確認する」手続きではない

答え: 検認は、遺言書の状態を記録して偽造・変造を防ぐための手続きです。遺言が有効かどうかを判断するものではありません。

根拠:裁判所は、検認について、相続人に遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続であるとし、遺言の有効・無効を判断する手続ではないとしています[1]。

ここを誤解していると、検認を受けたから内容も認められた、と思い込むことになります。検認が済んだあとに遺言の効力が争われることもあります。

手続きとしては、遺言書の保管者または発見した相続人が、遺言者の死亡後、遅滞なく家庭裁判所に提出する必要があります[1]。申立先は遺言者の最後の住所地の家庭裁判所、費用は遺言書1通につき収入印紙800円分と連絡用の郵便切手です[1]。

検認が要らないのは、公正証書と法務局保管の2つ

答え: 公正証書による遺言と、法務局に保管されている自筆証書遺言について交付される遺言書情報証明書は、検認が不要です。

根拠:裁判所は、検認が不要なものとして、公正証書による遺言と、法務局において保管されている自筆証書遺言に関して交付される遺言書情報証明書を挙げています[1]。

残された家族の手間で考えると、この差は小さくありません。検認は、申立てをしてから期日が決まり、相続人に通知が行き、全員が呼ばれます。遠方の相続人がいれば日程調整も要ります。相続の手続きが動き出すまでに時間がかかります。検認が不要であれば、この期間がそのまま短くなります。

法務局に預ける制度は、形式のチェックもある

答え: 保管申請のときに、民法の定める自筆証書遺言の形式に適合するかについて、遺言書保管官の外形的なチェックを受けられます。

根拠:法務省は、本制度のメリットとして、保管申請時に民法の定める自筆証書遺言の形式に適合するかについて遺言書保管官の外形的なチェックが受けられること、原本に加え画像データとしても長期間適正に管理されるため紛失・亡失のおそれがなく、相続人等による破棄、隠匿、改ざん等を防ぐことができること、相続開始後に家庭裁判所における検認が不要であることを挙げています[2]。

ただしこれは外形的なチェックです[2]。日付や署名の有無といった形式の話であって、書かれている内容が意図どおりに機能するか、遺留分を侵していないかといった中身の確認ではありません。自宅の引き出しに入れておくより格段に安全ですが、内容については専門家に相談する意味が残ります。個別の法的な判断は、弁護士または司法書士にご相談ください。当サイトは法律の個別判断を行いません。

相続人への通知という仕組みがある

答え: 遺言書の閲覧があった場合に他の相続人全員へ通知が届く仕組みと、遺言者が希望した場合に死亡の事実が確認できた時点で指定者へ通知が届く仕組みがあります。

根拠:法務省は、遺言書の閲覧時にその他の相続人全員に対してお知らせが届くこと(関係遺言書保管通知)、そして遺言者が希望した場合、遺言者の死亡の事実が確認できた時に指定者へお知らせが届くこと(指定者通知)を挙げています[2]。指定者通知については、令和5年10月2日から指定できる人数が最大3名になっています[4]。

自宅に保管した遺言書の最大のリスクは、見つけてもらえないことです。この通知の仕組みは、そこに直接効きます。

費用の目安

答え: 保管の申請が1件1通につき3,900円、相続後に遺言書情報証明書を取るのが1通につき1,400円です[3]。

根拠:法務省が示す手数料は、遺言書の保管申請が1件1通につき3,900円、遺言書の閲覧請求(モニターによる閲覧)が1回につき1,400円、同(原本の閲覧)が1回につき1,700円、遺言書情報証明書の交付請求が1通につき1,400円、遺言書保管事実証明書の交付請求が1通につき800円、申請書等・撤回書等の閲覧請求が1件につき1,700円です[3]。遺言者による保管申請の撤回や、遺言者の住所等の変更の届出については手数料は不要とされています[3]。手数料は収入印紙で納付し、収入印紙は各遺言書保管所で購入できます[3]。

よくある質問

Q. 公正証書遺言と、法務局に預ける自筆証書遺言のどちらがよいですか? A. どちらも検認が不要という点は共通です[1]。作成の方式や費用、内容の確認をどこまで受けられるかが異なります。どちらが適するかはご事情によるため、公証役場または専門家にご相談ください。

Q. 法務局に預ければ、内容も有効だと保証されますか? A. 保管申請時のチェックは外形的なものとされています[2]。内容の有効性を保証するものではありません。

Q. 預けたあとで書き直せますか? A. 遺言者による遺言書の保管の申請の撤回について、手数料は不要とされています[3]。手続きの詳細は法務省のページでご確認ください[4]。

Q. 遺言書があれば、相続の手続きは早く終わりますか? A. 検認が不要であればその期間は短くなります[1]。ただし相続税の申告期限や相続登記の期限は別に動きます。全体像は親が亡くなったあと、何をいつまでにをご覧ください。

Q. 遺言書と生命保険は、どう使い分けますか? A. 受取人を指定した死亡保険金は、遺産分割の対象や税務上の扱いが一般の相続財産と異なります。遺言でどこまで決め、保険でどこを補うかはご家庭の事情によります。考え方の整理は保険の相談についてからご相談ください。

出典

  1. 裁判所「遺言書の検認」(https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_17/index.html、2026-09-23参照)
  2. 法務省「自筆証書遺言書保管制度 01 遺言書保管制度とは?」(https://www.moj.go.jp/MINJI/01.html、2026-09-23参照)
  3. 法務省「自筆証書遺言書保管制度 09 手数料」(https://www.moj.go.jp/MINJI/09.html、2026-09-23参照)
  4. 法務省「自筆証書遺言書保管制度について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html、2026-09-23参照)

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