親が亡くなったあと、何をいつまでに。期限のある手続きを順番に並べる
基準日 2026年9月23日 ・ 確認 安井義幸
結論(要約回答)
期限のある手続きを短い順に並べると、相続放棄の申述が3か月、準確定申告が4か月、相続税の申告と納税が10か月、相続登記が3年です。相続放棄は自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ申述します[2]。準確定申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です[3]。相続税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納税を行いますが、必要なのは取得した財産の価額の合計額が基礎控除額を超える場合だけです[4]。基礎控除額は3,000万円に600万円と法定相続人の数を掛けた額を加えたものです[5]。相続登記は、相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内が期限で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります[6]。最初の3か月が実質的な山場です。財産と借金の全体像が見えないまま3か月が過ぎると、放棄という選択肢が事実上なくなります。
結論の一覧表
| 期限 | 手続き | どこへ | 出典 |
|---|---|---|---|
| すみやかに | 年金受給権者死亡届(マイナンバーが収録されていれば原則省略できる) | 日本年金機構 | [1] |
| 3か月 | 相続放棄の申述(自己のために相続の開始があったことを知ったときから) | 被相続人の最後の住所地の家庭裁判所 | [2] |
| 4か月 | 準確定申告(相続の開始があったことを知った日の翌日から) | 被相続人の納税地の税務署 | [3] |
| 10か月 | 相続税の申告と納税(死亡したことを知った日の翌日から) | 被相続人の住所地を所轄する税務署 | [4] |
| 3年 | 相続登記の申請(相続の開始と所有権の取得を知った日から) | 法務局 | [6] |
なお、市区町村への死亡届や健康保険・介護保険の資格喪失など、自治体で行う手続きは本記事の対象外です。お住まいの市区町村の案内をご確認ください。
最初の3か月が山場。相続放棄の期限だから
答え: 相続放棄ができるのは、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内です。この期間に、財産と借金の全体像をつかむ必要があります。
根拠:裁判所は、相続人が単純承認・相続放棄・限定承認の三つから選択でき、放棄を選ぶ場合は家庭裁判所への申述が必要であるとしたうえで、申述期間を「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」と案内しています[2]。申述先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所で、費用は申述人1人につき収入印紙800円分と連絡用の郵便切手です[2]。
3か月というのは、通夜と葬儀、初七日、四十九日を済ませて一息ついた頃には残りわずか、という長さです。実家に戻る回数が限られる人ほど厳しくなります。まずやることは、借入の有無の確認です。通帳の引き落とし履歴、郵便物、保証人になっていた形跡。ここが不明なまま期限を迎えると、借金も含めて引き継ぐことになります。
期間内に判断がつかない場合、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てる制度があります。申立てが認められるかは個別の事情によります。手続きの詳細は裁判所の案内をご確認ください。
4か月で準確定申告。亡くなった人の所得税
答え: 亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わって申告します。期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。
根拠:国税庁は、相続人(包括受遺者を含む)が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額および税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければならないとしています[3]。相続人が複数いる場合は、連署で申告書を提出するか、他の相続人の氏名を付記して個別に提出することができるとされています[3]。
年金収入だけで確定申告が不要だった方の場合、準確定申告も不要になることがあります。逆に、事業をしていた、不動産収入があった、医療費が多くかかっていた、という場合は対象になります。医療費控除を使うと還付になるケースもあるので、亡くなる前の入院費の領収書は捨てずに取っておいてください。
10か月で相続税。ただし全員が対象ではない
答え: 相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。ただし必要なのは、取得した財産の価額の合計額が基礎控除額を超える場合だけです。
根拠:国税庁は、相続税の申告と納税を、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うこととしています[4]。申告が必要なのは、取得した財産の価額の合計額が遺産に係る基礎控除額を超える場合で、超えない場合は申告も納税も必要ありません[4]。提出先は、被相続人の死亡の時における住所が日本国内にある場合、被相続人の住所地を所轄する税務署であり、相続人の住所地を所轄する税務署ではないと明記されています[4]。
基礎控除額は、3,000万円に600万円と法定相続人の数を掛けた額を加えた額です[5]。法定相続人に養子が含まれる場合、被相続人に実子がいるときは養子のうち1人まで、実子がいないときは養子のうち2人までを法定相続人に含めます[5]。相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数で計算します[5]。
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って税額がゼロになる場合でも、申告そのものが必要になることがあります。自分が申告の対象になるかどうかの判断は、税理士にご確認ください。当サイトは個別の税務判断を行いません。
3年で相続登記。2024年から義務になった
答え: 相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請します。怠ると10万円以下の過料の対象です[6]。
根拠:法務省は、相続登記の申請期限を「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内」とし、正当な理由なく申請を怠った場合は10万円以下の過料の適用対象になるとしています[6]。施行日(令和6年4月1日)より前に開始した相続についても義務の対象で、その場合は令和9年3月31日までが期限です[6]。ただし不動産の取得を知った日が令和6年4月以降であれば、その日から3年以内です[6]。
3年と聞くと余裕があるように感じますが、遺産分割の話がまとまらないまま年月が過ぎるのが実際です。詳しくは実家の相続登記は3年以内で扱っています。
年金の手続きは早めに。止め忘れると返還になる
答え: 年金を受けていた方が亡くなったときは、すみやかに日本年金機構へ届け出ます。マイナンバーが収録されていれば、死亡届は原則として省略できます。
根拠:日本年金機構は、同機構に個人番号(マイナンバー)が収録されている方について、原則として「年金受給権者死亡届(報告書)」を省略できるとしています[1]。
未支給年金については、年金を受けていた方が亡くなった当時にその方と生計を同じくしていた、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他これら以外の3親等内の親族が受け取れるとされ、受け取れる順位もこのとおりです[1]。先順位者がいる場合は受け取れず、同順位者が複数いる場合は代表者が請求します[1]。
止め忘れて振り込まれ続けた年金は、あとから返還を求められます。口座が凍結されていて引き出せないのに返還だけ求められる、という状態は避けたいところです。口座凍結については親が認知症になると銀行口座はどうなるかで扱っています。
よくある質問
Q. 何から手をつければよいですか? A. 期限が最も短いのが相続放棄の3か月なので、まず借入の有無を確認することから始めるのが実際的です[2]。通帳、郵便物、契約書類を一箇所に集めるだけでも判断材料が揃います。
Q. 遠方に住んでいて、何度も実家に行けません。 A. 相続放棄の申述は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所が管轄です[2]。手続き方法については各家庭裁判所にご確認ください。相続税の申告先も被相続人の住所地を所轄する税務署であり、相続人の住所地ではありません[4]。遠方の方ほど、どこに何を出すのかを最初に整理しておくと動きやすくなります。
Q. 相続人同士で話がまとまりません。 A. 遺産分割の話がまとまらなくても、相続税の申告期限は延びません[4]。また相続登記についても、戸籍が揃わないなどの事情がある場合に備えた相続人申告登記という制度があります。詳しくは実家の相続登記は3年以内をご覧ください。個別の法的な判断については、弁護士または司法書士にご相談ください。当サイトは法律の個別判断を行いません。
Q. 生命保険金は相続財産に含まれますか? A. 受取人が指定されている死亡保険金は、遺産分割の対象と税務上の扱いが一般の相続財産と異なります。ご契約の内容によって変わるため、考え方の整理は保険の相談についてからご相談ください。
出典
- 日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140731-01.html、2026-09-23参照)
- 裁判所「相続の放棄の申述」(https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html、2026-09-23参照)
- 国税庁「タックスアンサーNo.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2022.htm、2026-09-23参照)
- 国税庁「タックスアンサーNo.4205 相続税の申告と納税」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm、2026-09-23参照)
- 国税庁「タックスアンサーNo.4152 相続税の計算」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm、2026-09-23参照)
- 法務省「相続登記の申請義務化について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html、2026-09-23参照)