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親の介護施設はどこが違うのか。特養・老健・介護医療院・有料老人ホーム・サ高住を制度で分ける

基準日 2026年9月24日 ・ 確認 安井義幸

結論(要約回答)

介護保険の施設サービスは、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)・介護老人保健施設・介護医療院の3つです[1]。いずれも利用できるのは「要介護」と認定された人で、老健と介護医療院は症状が安定期にある場合に限られます[1]。特別養護老人ホームは平成27年4月1日以降、入所が原則要介護3以上に限定されていますが、要介護1・2でも特例入所が認められる場合があります[2]。これに対し、有料老人ホームは老人福祉法第29条にもとづく制度で、介護付・住宅型・健康型の3類型があります[3]。サービス付き高齢者向け住宅は「住宅」の登録制度で、必須のサービスは状況把握サービスと生活相談サービスの2つ、床面積は原則25平方メートル以上とされています[4]。つまり「施設」と呼ばれているものは、介護保険の施設・老人福祉法の有料老人ホーム・高齢者住まい法の登録住宅という、根拠法の違う3系統に分かれます。費用の見え方も、介護サービス費の自己負担とは別に食費・居住費・日常生活費がかかるという構造は共通です[5]。

結論の一覧表

種類 根拠 利用できる人 特徴 出典
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) 介護保険の施設サービス 「要介護」と認定された人。入所は原則要介護3以上 入浴・排泄・食事などの介護、機能訓練、健康管理及び療養上のサービス [1][2]
介護老人保健施設 介護保険の施設サービス 「要介護」と認定され、症状が安定期にある人 看護、医学的な管理の必要となる介護、機能訓練、そのほかの必要な医療 [1]
介護医療院 介護保険の施設サービス 「要介護」と認定され、症状が安定期にある人 療養上の管理、看護、医学的な管理の必要となる介護、機能訓練、医療 [1]
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 介護保険の地域密着型サービス 認知症で、かつ「要介護」と認定された人 共同生活を送る住居で提供される介護と機能訓練 [1]
有料老人ホーム(介護付) 老人福祉法第29条 施設ごとの入居要件による 特定施設入居者生活介護を利用できる [3]
有料老人ホーム(住宅型) 老人福祉法第29条 施設ごとの入居要件による 地域の訪問介護等を選択して利用する [3]
有料老人ホーム(健康型) 老人福祉法第29条 施設ごとの入居要件による 介護が必要となった場合は契約を解除し退去 [3]
サービス付き高齢者向け住宅 高齢者住まい法の登録制度 登録住宅ごとの入居要件による 必須は状況把握・生活相談。床面積は原則25平方メートル以上 [4]

介護保険の「施設」は3つしかない

答え: 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護医療院の3つです[1]。

根拠:厚生労働省の介護サービス情報公表システムは、介護老人福祉施設について「入浴、排泄、食事などの介護、そのほかの日常生活を送るうえで必要となるサービス、機能訓練、健康管理及び療養上のサービスを提供」するとし、利用できるのは「要介護」と認定された人としています[1]。介護老人保健施設は「看護、医学的な管理の必要となる介護、機能訓練、そのほかの必要な医療、日常生活上のサービスを提供」するとされ、利用対象は「要介護」と認定された人で、症状が安定期にある場合とされています[1]。介護医療院も「療養上の管理、看護、医学的な管理の必要となる介護、機能訓練、そのほかの必要な医療、日常生活上のサービスを提供」するとされ、同じく要介護かつ症状が安定期にある人が対象です[1]。

探しているときに目にする施設名の多くは、この3つではありません。「介護付有料老人ホーム」「サ高住」「住宅型」といった言葉は、別の制度のものです。パンフレットを並べる前に、まずその施設がどの制度のものかを見てください。

なお、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は施設サービスではなく地域密着型サービスに分類され、対象は「認知症で、かつ『要介護』と認定された人」とされています[1]。原則として、その市町村の住民が利用する形になります。

特養は原則要介護3以上。ただし特例入所がある

答え: 平成27年4月1日以降、特別養護老人ホームへの入所は原則要介護3以上に限定されています。要介護1・2の方にも特例入所が認められています[2]。

根拠:厚生労働省の「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」は、平成27年4月1日以降、施設への入所が原則要介護3以上の方に限定される一方、要介護1・2の方にも特例入所が認められるとしています[2]。特例入所にあたって十分に考慮すべき事情として、次の4つが挙げられています[2]。

  1. 認知症である者であって、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られること
  2. 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られること
  3. 家族等による深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難であること
  4. 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分であること

同じ指針では、特例入所の要件該当を申し立てた場合に入所申込みを受け付けない取扱いは認めないこととされています[2]。要介護2以下だからと窓口で諦める前に、この指針の存在を知っておく意味があります。

有料老人ホームは3類型。前払金には保全と3か月ルールがある

答え: 介護付・住宅型・健康型の3類型があり、前払金には保全措置と、短期間での解約時の返還ルールが法律上定められています[3]。

根拠:厚生労働省の資料は、有料老人ホームを老人福祉法第29条第1項にもとづく制度と位置づけ、食事の提供、介護の提供、洗濯・掃除等の家事の供与、健康管理のいずれかを提供するものとしています[3]。類型は、特定施設入居者生活介護を利用できる「介護付」、地域の訪問介護等を選択利用する「住宅型」、介護が必要となった場合には契約を解除し退去しなければならない「健康型」の3つです[3]。

前払金については、法第29条第7項で銀行等による連帯保証や信託会社による信託契約など複数の保全方式が規定されています[3]。また法第29条第8項により、3か月以内の解約の場合は、前払金から実際の利用期間分の利用料を控除した額が返還されるとされています[3]。

入居金が高額な施設ほど、この二つが効いてきます。契約前に、前払金の保全がどの方式で行われているか、3か月を過ぎた後の償却がどう設計されているかを重要事項説明書で確認してください。「健康型」を選んだ場合、介護が必要になった時点で退去という設計であることも、あらかじめ家族で共有しておく論点です[3]。

サ高住は「施設」ではなく「住宅」

答え: サービス付き高齢者向け住宅は高齢者住まい法にもとづく登録制度で、必須のサービスは状況把握サービスと生活相談サービスの2つです[4]。

根拠:国土交通省の資料は、登録基準として、床面積は原則25平方メートル以上、構造・設備が一定の基準を満たすこと、バリアフリー構造であること(廊下幅、段差解消、手すり設置)を挙げています[4]。サービスについては、状況把握サービスと生活相談サービスを必須とし、食事提供や家事援助はその他のサービスの例として示されています[4]。契約については、長期入院を理由に事業者から一方的に解約できないこととしているなど居住の安定が図られた契約であること、敷金・家賃・サービス対価以外の金銭を徴収しないことが基準とされています[4]。

読み替えると、サ高住が標準で提供するのは「見守り」と「相談」であって、介護そのものではありません。介護が必要になれば、外部の訪問介護等を別に契約して使う形が基本です。「サービス付き」という名前から介護が含まれると受け取ると、費用の見積もりがずれます。

費用は「介護サービス費の自己負担」と「食費・居住費」に分かれる

答え: 施設サービスを使う場合、介護サービス費の自己負担のほかに、居住費・食費・日常生活費がかかります[5]。

根拠:厚生労働省は、利用者負担を介護サービスにかかった費用の1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)としています[5]。施設サービスの費用は、施設サービス費の自己負担に加えて、居住費・食費・日常生活費がかかる構成で示されています[5]。軽減がない場合の基準費用額は、食費が日額1,445円、ユニット型個室の居住費が日額2,066円です[6]。

この「別にかかる」部分を軽くするのが負担限度額認定です。所得だけでなく預貯金等の資産要件もあるため、該当するかどうかは事前に確認が要ります。仕組みは施設の食費と居住費は上限の外にあるで詳しく扱っています。在宅で使うサービスの自己負担の決まり方は親の介護費用は何で決まるかをご覧ください。

よくある質問

Q. 特養と老健の一番の違いは何ですか? A. 老健は利用対象が「要介護」と認定され、症状が安定期にある人とされ、看護・医学的な管理の必要となる介護や必要な医療を提供するとされています[1]。在宅復帰を前提とした位置づけの施設です。特養は生活の場としての性格が強く、入所は原則要介護3以上とされています[2]。

Q. 要介護認定を受ける前でも入れる施設はありますか? A. 介護保険の施設サービス3種はいずれも「要介護」と認定された人が対象とされています[1]。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の入居要件は施設・住宅ごとに異なります[3][4]。

Q. サ高住と住宅型有料老人ホームはどう違いますか? A. 根拠となる制度が違います。サ高住は高齢者住まい法の登録制度で、床面積や状況把握・生活相談のサービスが登録基準とされています[4]。住宅型有料老人ホームは老人福祉法第29条にもとづく有料老人ホームの類型で、地域の訪問介護等を選択利用する形とされています[3]。実際の暮らし方が似ている場合もあるため、契約内容と費用の内訳で比べてください。

Q. 前払金を払った直後に亡くなった場合、返ってきますか? A. 老人福祉法第29条第8項により、3か月以内の場合は前払金から実際の利用期間分の利用料を控除した額が返還されるとされています[3]。3か月を過ぎた後の取扱いは契約の償却条件によるため、重要事項説明書でご確認ください。

Q. どこに相談すればよいですか? A. 要介護認定や地域のサービスについては、お住まいの市区町村の窓口と地域包括支援センターが窓口です。施設探しそのものについては、民間の紹介サービスもあります。

Q. 施設の費用を、どこまで自己資金で持つか迷います。 A. 公的な軽減には所得と資産の要件があり、基準を超える世帯は対象外です[6]。どこまで貯蓄で持ち、どこから民間の保険で備えるかは家庭ごとに違います。考え方の整理は保険の相談についてからご相談ください。

出典

  1. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム 介護保険の解説 サービスの種類」(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/service.html、2026-09-24参照)
  2. 厚生労働省「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」(平成26年12月12日老高発第1212001号。https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc0609&dataType=1&pageNo=1、2026-09-24参照)
  3. 厚生労働省「有料老人ホームの概要」(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000038009_1.pdf、2026-09-24参照)
  4. 国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の登録制度の概要」(https://koreisha.mlit.go.jp/service/dl/5-1_R07_service_point.pdf、2026-09-24参照)
  5. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム 介護保険の解説 サービスにかかる利用料」(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html、2026-09-24参照)
  6. 厚生労働省老健局「介護保険最新情報 Vol.1280」(令和6年6月21日。https://www.mhlw.go.jp/content/001266890.pdf、2026-09-24参照)

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