働きながら親を介護する。介護休業は通算93日を3回まで、給付金は賃金の67パーセント
基準日 2026年9月25日 ・ 確認 安井義幸
結論(要約回答)
介護休業は、対象家族1人につき通算93日の範囲内で合計3回まで取得できます[2]。雇用保険の介護休業給付金は、同じ家族について93日を限度に3回までに限り支給され、支給額は休業開始時賃金日額×支給日数×67パーセントで計算します[1]。賃金月額が546,600円を超える場合は賃金月額を546,600円として扱い、支給上限額は366,222円、下限は96,090円です[1]。休業期間中に会社から賃金が支払われ、その賃金と給付金の合計が賃金月額の80パーセントを超えるときは、超えた額が減額されて支給されます[1]。対象家族は、配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)、父母(養父母を含む)、子(養子を含む)、配偶者の父母(養父母を含む)、祖父母、兄弟姉妹、孫です[1]。あわせて、介護休暇として年5日(対象家族が2人以上であれば年10日)を1日または時間単位で取得できます[2]。令和7年4月1日からは、会社側に介護離職防止のための個別の周知・意向確認や、40歳等への早期の情報提供が義務づけられました[2]。
結論の一覧表
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 介護休業の日数 | 対象家族1人につき通算93日の範囲内で合計3回まで | [2] |
| 介護休業給付金の支給 | 同じ家族について93日を限度に3回までに限り支給 | [1] |
| 支給額の計算式 | 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67パーセント | [1] |
| 賃金月額の上限 | 546,600円(超える場合は546,600円として計算) | [1] |
| 支給上限額 | 366,222円 | [1] |
| 賃金月額の下限 | 96,090円 | [1] |
| 休業中に賃金が出た場合 | 賃金と給付金の合計が賃金月額の80パーセントを超えると、超えた額が減額 | [1] |
| 被保険者の要件 | 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数11日以上の完全月が12か月以上 | [1] |
| 対象外 | 介護休業終了後に離職することが予定されている方 | [1] |
| 対象家族 | 配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫 | [1] |
| 介護休暇 | 年5日(対象家族2人以上なら年10日)。1日または時間単位 | [2] |
| 令和7年4月1日から | 個別の周知・意向確認、40歳等への情報提供、雇用環境の整備が事業主の義務 | [2] |
93日は「介護するための期間」ではなく「体制をつくるための期間」
答え: 対象家族1人につき通算93日の範囲内で、合計3回まで取得できます[2]。
根拠:厚生労働省は、介護休業について、対象家族1人につき通算93日の範囲内で合計3回まで介護休業の権利を保障するとしています[2]。
93日という日数を見て「3か月で介護が終わるわけがない」と感じる方は多いはずです。この制度は、家族が付きっきりで介護するための期間ではなく、介護保険の申請をして、ケアプランを組んで、仕事と両立できる体制をつくるための期間として設計されています。
その意味で、分割して3回使えることに意味があります。要介護認定の申請から通知までは原則30日以内とされているので[4]、まず認定とサービス導入のために1回、状態が変わったときにもう1回、といった使い方ができます。認定の流れは要介護認定はどう進むのかをご覧ください。
対象家族の範囲は広く、配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)、父母(養父母を含む)、子(養子を含む)、配偶者の父母(養父母を含む)、祖父母、兄弟姉妹、孫とされています[1]。配偶者の親も対象です。
給付金は賃金の67パーセント。ただし上限がある
答え: 休業開始時賃金日額×支給日数×67パーセントで計算し、支給上限額は366,222円です[1]。
根拠:厚生労働省・都道府県労働局・公共職業安定所の資料は、介護休業給付の支給額を「休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%」としています[1]。賃金月額が546,600円を超える場合は賃金月額を546,600円とし、支給上限額は366,222円、下限は96,090円とされています[1]。
注意したいのは、休業期間中に会社から賃金が支払われた場合の調整です。支払われた賃金と給付金の合計が賃金月額の80パーセントを超えるときは、超えた額が減額されて支給されます[1]。会社の制度で一部の給与が出る場合、給付金が満額出るとは限りません。
支給を受けるには、介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上あることが必要です[1]。令和2年8月1日以降は、時間数80時間以上の月も算定対象になります[1]。
**そして、ここが見落とされがちです。**介護休業終了後に離職することが予定されている方は、支給の対象となりません[1]。介護のために辞めるつもりで休業を取ると、給付金は出ません。制度の目的が離職の防止にあるためです。
1日単位で休みたいときは介護休暇
答え: 年5日(対象家族が2人以上であれば年10日)を、1日または時間単位で取得できます[2]。
根拠:厚生労働省の資料は、介護休暇について、介護等をする場合に年5日(対象家族が2人以上であれば年10日)を限度として取得でき、1日または時間単位で取得できるとしています[2]。
通院の付き添い、ケアマネジャーとの面談、施設の見学といった用事は、丸ごと休む必要はないけれど半休では足りない、という長さになりがちです。時間単位で取れるのはこのためです。
令和7年4月1日からは、介護休暇について勤続6か月未満の労働者を労使協定で除外する仕組みが廃止されました[2]。入社して間もない人も取得できます。
会社側の義務が増えている。40歳になったら案内が来る
答え: 令和7年4月1日から、個別の周知・意向確認、40歳等への早期の情報提供、雇用環境の整備が事業主の義務になりました[2]。
根拠:厚生労働省の資料は、介護に直面した旨の申出をした労働者に対して、事業主が介護休業制度等に関する事項の周知と、介護休業の取得・介護両立支援制度等の利用の意向の確認を個別に行わなければならないとしています[2]。周知すべき事項は、介護休業に関する制度・介護両立支援制度等の内容、申出先、介護休業給付金に関することの3つで、方法は面談、書面交付、FAX、電子メール等のいずれかとされています[2]。
あわせて、介護に直面する前の早い段階(40歳等)に、介護休業および介護両立支援制度等に関する情報提供の措置を講じることが義務づけられました[2]。
雇用環境の整備についても、次の4つの措置のうちいずれかの実施が義務とされています[2]。
- 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
- 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備
- 自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供
- 自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知
また、要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう措置を講ずることが、事業主の努力義務となりました[2]。
働く側から見れば、40歳前後で会社から介護制度の案内が届くようになったということです。まだ関係ないと思って捨てずに、申出先だけ控えておいてください。会社を経営している側から見れば、これは対応が必要な法改正です。
よくある質問
Q. 93日を使い切ったあとはどうなりますか? A. 介護休業として保障されるのは対象家族1人につき通算93日です[2]。それ以降の働き方については、介護両立支援制度等や、テレワークの措置を含めて勤務先にご相談ください。
Q. 兄弟で同じ親を介護します。それぞれ93日取れますか? A. 介護休業は労働者ごとの権利として、対象家族1人につき通算93日とされています[2]。個別の適用は勤務先および労働局にご確認ください。
Q. 給付金の申請はどこにしますか? A. 雇用保険の給付です。申請手続きはハローワークで、通常は事業主を経由して行われます[1]。勤務先にご確認ください。
Q. パートや契約社員でも取れますか? A. 介護休業給付金は雇用保険の被保険者が対象で、休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の完全月が12か月以上あることが要件です[1]。雇用形態ではなく被保険者期間で判断されます。詳細は勤務先とハローワークにご確認ください。
Q. 要介護認定を受けていないと使えませんか? A. 介護休業の対象となる「要介護状態」の判断は、介護保険の要介護認定とは別の基準によります。勤務先の就業規則と労働局にご確認ください。
Q. 収入が減る分を、どう備えておけばよいですか? A. 給付金は賃金の67パーセントで、上限額もあります[1]。減る分をどこまで貯蓄で持ち、どこから民間の保険で備えるかは家庭ごとに違います。考え方の整理は保険の相談についてからご相談ください。
出典
- 厚生労働省・都道府県労働局・公共職業安定所(ハローワーク)「介護休業給付の内容及び支給申請手続について」(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/kaigokyuugyou.pdf、2026-09-25参照)
- 厚生労働省雇用環境・均等局職業生活両立課「令和6年育児・介護休業法改正について【介護関係を中心に】」(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001435348.pdf、2026-09-25参照)
- 厚生労働省「介護休業について」(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/closed/index.html、2026-09-25参照)
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム 介護保険の解説 サービス利用までの流れ」(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/flow.html、2026-09-25参照)