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誰も住まない実家を放っておくとどうなるか。管理不全空家と、固定資産税が上がる仕組み

基準日 2026年9月23日 ・ 確認 安井義幸

結論(要約回答)

2023年の空家法改正で「管理不全空家等」という区分が新しく設けられました。放置すれば特定空家等になるおそれがある空家等と定義され、市区町村が指導・勧告できるようになっています[1]。改正法の施行日は令和5年12月13日です[3]。ここで効いてくるのが固定資産税です。住宅が建っている土地は、小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分)の課税標準が6分の1に、一般住宅用地(200平方メートルを超える部分)が3分の1に減額されていますが[2]、特定空家等または管理不全空家等として市区町村長から勧告を受けると、この住宅用地特例の適用対象から除外されます[2]。従来は「特定空家等」まで悪化しないと税の軽減は外れませんでしたが、その一段手前でも外れるようになった、というのが改正の実務上の意味です。誰も住まない実家を持ち続けるなら、草木の管理と定期的な換気は、税金の話でもあるということになります。

結論の一覧表

項目 内容 出典
管理不全空家等の定義 放置すれば特定空家等になるおそれがある空家等 [1]
管理不全空家等への措置 指導、勧告(2023年改正で新設) [1]
特定空家等への措置 助言・指導、勧告、命令、代執行 [1]
改正法の施行日 令和5年12月13日 [3]
小規模住宅用地の特例 200平方メートル以下の部分は課税標準が6分の1に減額 [2]
一般住宅用地の特例 200平方メートルを超える部分は課税標準が3分の1に減額 [2]
勧告を受けた場合 特定空家等・管理不全空家等のいずれも、住宅用地特例の適用対象から除外 [2]
相続登記 相続で取得したことを知った日から3年以内に申請。怠ると10万円以下の過料 [4]

「管理不全空家等」が一段手前に加わった

答え: 特定空家等に至る前の段階として、管理不全空家等という区分が2023年の改正で設けられ、指導・勧告の対象になりました。

根拠:国土交通省の資料は、管理不全空家等を「放置すれば特定空家等になるおそれがある空家等」と説明し、2023年の改正により市区町村が指導、勧告することができるようになったとしています[1]。特定空家等については、従来から助言・指導、勧告、命令、代執行の措置を講じられる場合があるとされています[1]。改正法の施行日は令和5年12月13日です[3]。

段階が一つ増えた、という理解でよいと思います。以前は、屋根が崩れかけている、ごみが散乱している、といったところまで悪化してはじめて行政が動きました。いまは、その手前の「このままだと危なくなる」という状態でも指導・勧告の対象になります。

勧告を受けると、固定資産税の軽減が外れる

答え: 住宅が建っている土地の固定資産税は大きく軽減されていますが、勧告を受けるとその軽減の対象から外れます。

根拠:国土交通省の資料によると、住宅用地の課税標準は、小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分)が6分の1に、一般住宅用地(200平方メートルを超える部分)が3分の1に減額されます[2]。そして特定空家等および管理不全空家等のいずれについても、市区町村長から勧告を受けた場合には、住宅用地特例の適用対象から除外されるとされています[2]。

6分の1の軽減が外れるということは、土地の固定資産税の課税標準が元の額に戻るということです。金額でどれくらい変わるかは土地の評価額によるので、ここでは具体的な数字を挙げません。お手元の固定資産税の納税通知書に記載された課税標準額をご確認いただくのが確実です。

順序としては、いきなり税が上がるのではなく、指導があり、それでも改善しない場合に勧告、という流れです[1]。市区町村から書面が届いた段階で動けば、税の話までは至りません。放置して連絡を無視し続けることが、いちばん不利になります。

相続した時点から、管理の責任が始まっている

答え: 実家を相続した人が、その空き家の管理をする立場になります。登記をしていなくても、相続したという事実は変わりません。

根拠:相続登記については、相続の開始と不動産の所有権の取得を知った日から3年以内の申請が義務づけられており、正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の適用対象になります[4]。施行日前に開始した相続についても対象で、その場合は令和9年3月31日までが期限です[4]。

「まだ登記していないから自分のものではない」という整理にはなりません。きょうだいで話がまとまらないまま数年が過ぎ、その間に草木が伸びて近隣から市区町村へ連絡が入る、という順番はよくあります。相続登記の期限と空き家の管理は、実際には同じ問題の表と裏です。詳しくは実家の相続登記は3年以内で扱っています。

持ち続けるか、手放すかを早めに決める

答え: 誰も住まないまま持ち続ける場合は、管理の手間と費用が毎年かかります。判断を先送りするほど、選択肢は減ります。

根拠:管理不全空家等は「放置すれば特定空家等になるおそれがある空家等」と定義されています[1]。つまり、放置の期間が長いほど区分が悪化する方向に進みます。

持ち続ける場合は、草木の手入れ、通水と換気、郵便物の確認を定期的に行う体制が要ります。遠方であれば管理を委託する費用がかかります。手放す場合は、売却、解体して土地として売る、といった方法があります。解体すると住宅用地特例が外れる点は、勧告を受けた場合と同じです。どちらを選ぶにしても、費用と税金の両方を並べて比べる必要があります。

なお、相続した土地を国庫に帰属させる制度もありますが、要件と負担金の詳細は本記事の範囲を超えます。実家の相続登記は3年以内で触れています。

よくある質問

Q. 誰も住んでいなければ、すぐに管理不全空家等になりますか? A. 空き家であることだけで直ちに該当するものではなく、放置すれば特定空家等になるおそれがある状態かどうかが判断の基準です[1]。判断の参考となる基準は国土交通省がガイドラインとして示しています[3]。個別の判断は市区町村が行います。

Q. 年に何回か帰って風を通していれば大丈夫ですか? A. 判断は市区町村が個別に行うため、頻度で線が引かれているわけではありません。心配な場合は、物件の所在地の市区町村の空き家担当窓口にご相談ください。

Q. きょうだいの共有名義のままでも、誰かが指導を受けますか? A. 共有の場合の措置の対象については、本記事で参照した資料の範囲を超えるため扱いません。市区町村にご確認ください。共有のまま放置すると、売却も解体も全員の合意が要るため動けなくなります。

Q. 空き家に火災保険はかけられますか? A. 人が住んでいない建物は、住宅として契約している火災保険の対象外になる場合があります。空き家になった時点で契約内容の見直しが必要になることが多いので、保険の相談についてからご相談ください。

出典

  1. 国土交通省「『空家法』と『2023改正空家法』」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001753652.pdf、2026-09-23参照)
  2. 国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001712029.pdf、2026-09-23参照)
  3. 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html、2026-09-23参照)
  4. 法務省「相続登記の申請義務化について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html、2026-09-23参照)

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