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社長の自宅を社宅にすると何が変わるか。賃貸料相当額の計算と、豪華社宅の線引き

基準日 2026年9月23日 ・ 確認 安井義幸

結論(要約回答)

役員に社宅を貸す場合、会社が役員から「賃貸料相当額」を受け取っていれば、給与として課税されません。賃貸料相当額より低い家賃しか受け取っていないときは、その差額が給与として課税されます[1]。賃貸料相当額の計算は住宅の規模で分かれ、小規模な住宅であれば、建物の固定資産税の課税標準額の0.2パーセント、12円に建物の総床面積を3.3平方メートルで割った数を掛けた額、敷地の固定資産税の課税標準額の0.22パーセント、この3つの合計です[1]。小規模な住宅とは、法定耐用年数が30年以下の建物なら床面積132平方メートル以下、30年を超える建物なら99平方メートル以下の住宅をいいます[1]。床面積240平方メートル超などの豪華社宅は、この計算ではなく通常支払うべき使用料に相当する額が賃貸料相当額になります[1]。なお、使用人に貸す場合は賃貸料相当額の50パーセント以上を受け取っていれば差額が課税されませんが[2]、役員にはこの取扱いがありません[1]。

結論の一覧表

項目 内容 出典
課税されない条件 役員から賃貸料相当額以上を受け取っていること。下回る場合は差額が給与課税 [1]
小規模な住宅の範囲 法定耐用年数30年以下の建物は床面積132平方メートル以下、30年超の建物は99平方メートル以下 [1]
小規模な住宅の賃貸料相当額 ①建物の固定資産税の課税標準額×0.2パーセント ②12円×(建物の総床面積÷3.3平方メートル) ③敷地の固定資産税の課税標準額×0.22パーセント の合計 [1]
小規模でない住宅(他から借りた場合) 会社が支払う家賃の50パーセントと、自社所有として計算した額の、いずれか多い額 [1]
豪華社宅 床面積240平方メートル超や特殊な設備を有するものなど。通常支払うべき使用料に相当する額が賃貸料相当額 [1]
使用人の場合との違い 使用人は賃貸料相当額の50パーセント以上を受け取っていれば差額が課税されない。役員にこの取扱いはない [1][2]

何が起きているのか

答え: 会社が住宅を借りて役員に貸し、役員から一定額を受け取る形にすると、会社が払う家賃が会社の費用になり、役員は自分で全額を負担する場合より手取りの目減りが小さくなります。

根拠:国税庁は、役員に社宅などを貸す場合、役員から賃貸料相当額を受け取っていれば給与として課税されないとしています[1]。賃貸料相当額より低い家賃しか受け取っていない場合は、賃貸料相当額と受け取っている家賃との差額が給与として課税されます[1]。

言い換えると、賃貸料相当額をきちんと受け取ってさえいれば、会社が負担している部分は役員の給与になりません。役員報酬を上げて自宅の家賃を個人で払う場合、その報酬には所得税・住民税と社会保険料がかかります。社宅にする場合はその部分が発生しないため、同じ住居費でも手取りの残り方が変わります。ただし自社の状況にどう当てはまるかは顧問税理士にご確認ください。当サイトは個別の税務判断を行いません。

計算式は「小規模な住宅かどうか」で分かれる

答え: まず床面積を確認します。法定耐用年数が30年以下の建物なら132平方メートル以下、30年を超える建物なら99平方メートル以下であれば「小規模な住宅」です。

根拠:国税庁は、小規模な住宅とは、法定耐用年数が30年以下の建物の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には床面積が99平方メートル以下である住宅をいうとしています[1]。

小規模な住宅に当たる場合、賃貸料相当額は次の3つの合計です[1]。

  1. その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2パーセント
  2. 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)÷3.3平方メートル)
  3. その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22パーセント

固定資産税の課税標準額が計算の起点になるので、賃貸物件の場合は所有者に確認するか、市区町村で固定資産課税台帳を閲覧する必要があります。ここを調べずに「家賃の何割」で決めてしまうと、根拠がない金額になります。

小規模な住宅に当たらない場合、他から借り受けた住宅を貸すときは、会社が支払う家賃の50パーセントに相当する額と、自社所有として計算した額とのいずれか多い額が賃貸料相当額になります[1]。

広すぎる家は、この計算が使えない

答え: 床面積240平方メートルを超えるものなどは豪華社宅として扱われ、通常支払うべき使用料に相当する額が賃貸料相当額になります。

根拠:国税庁は、いわゆる豪華社宅については、通常支払うべき使用料に相当する額が賃貸料相当額になるとしています[1]。床面積が240平方メートルを超えるものや、特殊な設備を有するものなどが該当するとされています[1]。

この場合、実際の家賃に近い額を役員が負担することになるため、社宅にする意味は小さくなります。物件を選ぶ段階で床面積を確認しておくのが実際的です。

使用人と役員で扱いが違う

答え: 使用人には賃貸料相当額の50パーセント以上を受け取っていれば差額が課税されないという取扱いがありますが、役員にはありません。

根拠:国税庁は、使用人から受け取っている家賃が賃貸料相当額の50パーセント以上であれば、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額は給与として課税されないとしています[2]。役員についてのページには、この50パーセントの取扱いは示されておらず、賃貸料相当額を受け取っていれば課税されない、下回れば差額が課税される、とされています[1]。

同じ社宅制度を作る場合でも、役員と従業員で受け取るべき金額の考え方が違うということです。社宅規程を作るときは、この違いを織り込んでおく必要があります。

よくある質問

Q. 役員の自宅をそのまま社宅にできますか? A. 役員個人が所有している住宅を会社が借り上げる形は、賃貸借の実態や賃料の設定など、本記事で扱った論点とは別の検討が必要です。当サイトでは公式の記載を確認していないため、本記事では扱いません。顧問税理士にご確認ください。

Q. 家賃をまったく受け取らない形にできますか? A. 賃貸料相当額を受け取っていない場合、賃貸料相当額の全額が給与として課税されます[1]。社宅にした意味がなくなるため、実務上は賃貸料相当額を計算したうえで受け取る形にします。

Q. 水道光熱費はどうなりますか? A. 本記事で参照した国税庁のページには水道光熱費の取扱いの記載がないため、当サイトでは確認できていません。顧問税理士にご確認ください。

Q. 社宅にすると、社会保険料も下がりますか? A. 役員報酬を上げずに住居費を会社が負担する形になるため、報酬を上げて個人で家賃を払う場合とは、標準報酬月額の基礎になる金額が変わります。ただし現物給与の取扱いは健康保険・厚生年金の規定によるもので、本記事で参照した国税庁の資料の範囲外です。日本年金機構または顧問社会保険労務士にご確認ください。

出典

  1. 国税庁「タックスアンサーNo.2600 役員に社宅などを貸したとき」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2600.htm、2026-09-23参照)
  2. 国税庁「タックスアンサーNo.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2597.htm、2026-09-23参照)

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