本ページにはプロモーション(アフィリエイト広告)が含まれています。掲載順や評価は広告の有無・報酬額によって変えていません。

ホーム / 社長のお金

小規模企業共済と経営セーフティ共済は何が違うか。自分の退職金と、取引先が倒れたときの資金

基準日 2026年9月23日 ・ 確認 安井義幸

結論(要約回答)

名前が似ていますが、この2つは別の目的の制度です。小規模企業共済は経営者個人が自分の退職金を積む制度で、掛金は月1,000円から7万円までの範囲を500円単位で選び、支払った全額が小規模企業共済等掛金控除として所得から差し引かれます[1][5]。経営セーフティ共済は取引先が倒産したときの資金を確保する制度で、掛金は月5,000円から20万円までを5,000円単位で選び、総額800万円まで積み立てられ、個人は必要経費、法人は損金として扱われます[3][4]。効く税金が違うので、どちらか一方を選ぶという関係ではありません。区切りの数字も違います。小規模企業共済は掛金納付月数240か月(20年)が、経営セーフティ共済は40か月が、受け取れる額の分かれ目です[1][3]。そして2024年10月1日以後、経営セーフティ共済を解約して入り直すと、解約の日から2年間に払った掛金は経費になりません[6]。

結論の一覧表

項目 小規模企業共済 経営セーフティ共済 出典
目的 経営者個人の退職金・廃業後の資金 取引先の倒産による連鎖倒産の防止 [2][4]
加入できる人 常時使用する従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の個人事業主または会社の役員 引き続き1年以上事業を行っている中小企業者 [1][3]
掛金月額 1,000円〜70,000円(500円単位) 5,000円〜200,000円(5,000円単位) [1][3]
積立の上限 上限の定めは掛金月額のみ 掛金総額800万円まで [3]
掛金の税務上の扱い 支払った全額が小規模企業共済等掛金控除(所得控除) 個人は必要経費、法人は損金 [3][5]
受け取り額の分かれ目 掛金納付月数240か月(20年)未満は掛金合計額を下回る 納付月数40か月以上で解約手当金が掛金総額と同額 [1][3]
借入 契約者貸付制度あり 無担保・無保証・無利子。上限8,000万円 [3]
2024年10月からの注意 — 解約して再契約すると、解約日から2年間の掛金は損金・必要経費に算入できない [6]

目的が違う。だから両方入っている会社もある

答え: 小規模企業共済は「経営者個人がやめたときのお金」、経営セーフティ共済は「取引先が倒れたときの会社のお金」です。守る対象も、お金の出どころも違います。

根拠:中小機構は小規模企業共済を、小規模企業の個人事業主や会社等の役員が事業をやめたり退職したりした場合に備える制度と位置づけています[2]。掛金を払うのは経営者個人で、受け取るのも個人です。一方の経営セーフティ共済は、取引先事業者が倒産した際に中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度で、掛金を払うのは会社(または個人事業)です[4]。

したがって、どちらを選ぶかという問いは立ちません。会社の資金繰りに余裕があれば両方に入っている会社もありますし、事業の性格によってはどちらか一方で足りることもあります。判断材料は、売掛金がどれくらい特定の取引先に偏っているか、そして経営者個人の退職金をどこから出す想定かの2点です。

税の効き方が違う。個人の所得控除か、会社の経費か

答え: 小規模企業共済は経営者個人の所得から差し引かれ、経営セーフティ共済は会社の経費になります。効く税金が別なので、比べる意味がありません。

根拠:国税庁は、小規模企業共済法の規定によって中小企業基盤整備機構と結んだ共済契約の掛金について、控除できる金額は「その年に支払った掛金の全額です」としています[5]。これは経営者個人の所得税・住民税の計算で所得から差し引かれるものです。中小機構の資料でも「掛金は税法上、全額を小規模企業共済等掛金控除として、課税対象となる所得から控除できます」と案内されています[1]。

経営セーフティ共済の掛金は、個人であれば事業所得の必要経費、法人であれば損金として扱われます[3]。こちらは会社の所得を減らす方向に働きます。役員報酬をどう設定するかと合わせて考えると、会社側と個人側のどちらの税負担を動かしたいのかで、掛ける先が変わってきます。

なお、自社の状況にどう当てはまるかは顧問税理士にご確認ください。当サイトは個別の税務判断を行いません。

小規模企業共済は「20年」が分かれ目

答え: 掛金納付月数が240か月(20年)に届かないうちにやめると、受け取る額が払った掛金の合計を下回ります。

根拠:中小機構は制度のしおりで、掛金納付月数が240か月(20年)未満の場合は掛金合計額を下回ると案内しています[1]。長く続けることを前提にした制度設計です。

掛金月額は1,000円から7万円までの範囲で500円単位で選べるので[1]、始めるときは上限いっぱいではなく、事業の波が来ても払い続けられる水準から入るという考え方があります。

受け取り方は、一括受取り、分割受取り、一括と分割の併用の3種類です[1]。分割で受け取るには共済金の額が300万円以上で、共済事由が生じた時点で60歳以上であることが要件とされています[1]。併用の場合は共済金の額が330万円以上で、分割受取額が300万円以上、一括受取額が30万円以上であることが要件です[1]。

受け取れる金額は、廃業なのか、退任なのか、任意解約なのかという請求事由の区分によって変わります。区分ごとの金額は中小機構の制度のしおりに一覧があるので、加入や受け取りを検討する段階でそちらをご確認ください[1]。

経営セーフティ共済は「40か月」と「800万円」が分かれ目

答え: 掛金納付月数40か月以上で解約手当金が掛金総額と同額になり、掛金総額は800万円で頭打ちになります[3]。

根拠:中小機構は、任意解約の場合で掛金納付月数40か月以上であれば解約手当金の支給率が掛金総額と同額になるとしています[3]。40か月に満たないうちに解約すると、受け取れる額は掛金総額を下回ります[3]。掛金は総額800万円に達するまで積み立てることができ[3]、月20万円で払い続けると40か月で上限に届く計算になります。

借入については、取引先が倒産した場合に、回収困難となった売掛金債権等の額と掛金総額の10倍の額とのいずれか少ない額の範囲で、無担保・無保証・無利子で借り入れられます[3]。限度額は8,000万円です[3]。ただし、借入をすると貸付金額の10分の1に相当する額が納付した掛金から控除されます[3]。無利子ではありますが、掛金の一部を失う形になる点は押さえておく必要があります。

2024年10月から、解約してすぐ入り直しても経費にならない

答え: 経営セーフティ共済を解約した後に再び契約した場合、解約の日から2年を経過する日までに支払う掛金は、損金にも必要経費にもなりません。

根拠:国税庁の令和6年度改正の資料は、中小企業倒産防止共済法の共済契約の解除があった後に同法の共済契約を締結した場合には、その解除の日から同日以後2年を経過する日までの間に支出する掛金については本特例の適用ができないこととされた、としています[6]。法人については令和6年(2024年)10月1日以後に解除があった後に共済契約を締結した場合に適用されます[6]。

これから加入する場合も、いったん解約する場合も、この2年の縛りを織り込んで考える必要があります。

受け取るときにも税金がかかる

答え: 積むときに税負担が軽くなる分、受け取るときに課税されます。いつ、どういう形で受け取るかが実質的な論点です。

根拠:小規模企業共済の共済金を一括で受け取る場合(死亡による場合を除く)は退職所得として、分割で受け取る場合は公的年金等の雑所得として扱われると案内されています[1]。経営セーフティ共済の解約手当金は、受け取った事業年度の収益(個人の場合は事業所得の収入金額)になります。

つまり、どちらも「税金がなくなる」制度ではなく、課税される時期を先に送る性質を持っています。経営セーフティ共済は特にこの点が大きく、解約手当金を受け取った期に他の損失や大きな支出がないと、その期の所得が一気に増えます。役員退職金を出す期に合わせる、設備投資の期に合わせるといった出口の設計を、入るときから考えておくことになります。具体的な時期や金額の判断は、顧問税理士にご相談ください。

よくある質問

Q. 両方に入れますか? A. 制度上は別の制度なので、それぞれの加入資格を満たせば両方に加入できます。小規模企業共済は常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の個人事業主または会社の役員[1]、経営セーフティ共済は引き続き1年以上事業を行っている中小企業者が対象です[3]。

Q. 掛金は途中で変えられますか? A. 小規模企業共済の掛金月額は1,000円から7万円までの範囲で500円単位[1]、経営セーフティ共済は5,000円から20万円までの範囲で5,000円単位で選べるものとされています[3]。変更手続きの詳細は中小機構の案内をご確認ください。

Q. 従業員が増えて20人を超えたら、小規模企業共済はどうなりますか? A. 加入資格は加入時の要件です。増員後の取扱いについては中小機構にご確認ください。当サイトでは公式の記載を確認できていません。

Q. 社長に万一のことがあった場合、これで足りますか? A. 共済は積み立てた分しか出ません。加入して間もない時期に万一のことが起きた場合、積立額と、会社が必要とする資金(借入金の返済、当面の運転資金、退職金)との間に差が出ます。その差をどう埋めるかは会社ごとに事情が違うので、考え方の整理は保険の相談についてからご相談ください。

出典

  1. 中小企業基盤整備機構「小規模企業共済 制度のしおり」(https://kyosai-web.smrj.go.jp/content/s_200_202311_shiori.pdf、2026-09-23参照)
  2. 中小企業基盤整備機構「小規模企業共済とは」(https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/、2026-09-23参照)
  3. 中小企業基盤整備機構「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済) 制度のしおり」(https://kyosai-web.smrj.go.jp/content/t_906_202311_shiori.pdf、2026-09-23参照)
  4. 中小企業基盤整備機構「経営セーフティ共済 制度の概要」(https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/features/、2026-09-23参照)
  5. 国税庁「タックスアンサーNo.1135 小規模企業共済等掛金控除」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1135.htm、2026-09-23参照)
  6. 国税庁「令和6年度 法人税関係法令の改正の概要」12 その他主な改正項目(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2024/pdf/O.pdf、2026-09-23参照)

関連記事

この記事は制度と実務の一般的な解説です。個別の税務・法律・投資の判断ではありません。 詳しくは免責事項をご覧ください。