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メールで受け取った請求書は、紙に印刷して保存では足りない。電子取引データ保存の要件

基準日 2026年9月23日 ・ 確認 安井義幸

結論(要約回答)

注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データのうち、データでやりとりしたものが電子取引データ保存の対象です[1]。データで受け取ったものを紙に印刷して保存する、という運用では要件を満たしません。保存にあたっては、改ざん防止の措置をとること、日付・金額・取引先で検索できること、ディスプレイやプリンタ等を備え付けることが求められます[1]。改ざん防止の措置としては、タイムスタンプを付与する、訂正・削除の履歴が残るシステム等で授受・保存する、改ざん防止のための事務処理規程を定めて守る、といった方法が挙げられています[1]。検索要件については、基準期間(2年(期)前)の売上高が5,000万円以下である場合や、電子取引データをプリントアウトした書面を日付および取引先ごとに整理された状態で提示・提出できるようにしている場合は不要になります[1]。さらに猶予措置があり、納税地等の所轄税務署長が相当の理由があると認め、ダウンロードの求めに応じることができるようにしておき、整然とした形式および明瞭な状態で出力した書面の提示または提出をすることができるようにしている場合は、保存時に満たすべき要件が不要になります[2]。

結論の一覧表

項目 内容 出典
対象 注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データで、データでやりとりしたもの [1]
改ざん防止の措置 タイムスタンプを付与/訂正・削除の履歴が残るシステム等での授受・保存/改ざん防止のための事務処理規程を定めて守る [1]
検索の要件 日付・金額・取引先で検索できること。日付または金額は範囲を指定した検索ができ、2つ以上の任意項目を組み合わせて検索できること [1]
出力環境 ディスプレイやプリンタ等を備え付けること [1]
検索要件が不要になる場合(イ) 基準期間(2年(期)前)の売上高が5,000万円以下 [1]
検索要件が不要になる場合(ロ) 電子取引データをプリントアウトした書面を、日付および取引先ごとに整理された状態で提示・提出することができるようにしている [1]
猶予措置 所轄税務署長が相当の理由があると認め、ダウンロードの求めに応じることができ、整然とした形式および明瞭な状態で出力した書面の提示または提出ができるようにしている場合 [2]
制度の区分 電子取引データ保存/電子帳簿・電子書類/スキャナ保存の三つ [3]

「データで受け取ったものは、データで残す」

答え: 対象は、データでやりとりしたものです。紙で受け取ったものは対象外です。

根拠:国税庁は、対象を「注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データ」とし、「データでやりとりしたものが対象」としています[1]。

判断の軸は、書類の種類ではなく受け渡しの方法です。同じ請求書でも、郵送で届いた紙は対象外、メールにPDFが添付されていたものは対象です。取引先のWebサイトからダウンロードした領収書も、データでやりとりしたものに当たります。

制度は三つに分かれており、電子取引データ保存のほかに、会計ソフト等で作成した帳簿・書類を電子のまま保存する電子帳簿・電子書類、紙の書類を画像データにして保存するスキャナ保存があります[3]。後の二つは任意ですが、電子取引データ保存は義務です。

要件は「改ざん防止」と「検索」と「出力環境」

答え: この三つが揃っている必要があります。

根拠:国税庁のパンフレットは、改ざん防止のための措置をとる必要があること、「日付・金額・取引先」で検索できる必要があること、ディスプレイやプリンタ等を備え付ける必要があることを挙げています[1]。

改ざん防止の措置としては、タイムスタンプを付与する、訂正・削除の履歴が残るシステム等での授受・保存、改ざん防止のための事務処理規程を定めて守る、といった方法が示されています[1]。最後のものは、システムを入れなくても規程の整備で対応できるという意味です。

検索については、日付・金額・取引先で検索できることに加えて、日付または金額について範囲を指定した検索ができること、2つ以上の任意項目を組み合わせて検索できることが挙げられています[1]。

売上高5,000万円以下なら、検索要件が外れる場合がある

答え: 基準期間(2年(期)前)の売上高が5,000万円以下であれば、検索要件は不要になります[1]。

根拠:国税庁は、検索要件が不要になる場合として、基準期間(2年(期)前)の売上高が5,000万円以下であること、または電子取引データをプリントアウトした書面を日付および取引先ごとに整理された状態で提示・提出することができるようにしていることを挙げています[1]。

中小企業の多くはこの範囲に入ります。検索システムを入れなくても、フォルダに保存して必要なときに出せる状態にしておけば足りる場合がある、ということです。ただし検索要件が外れても、改ざん防止の措置と出力環境の要件は残ります[1]。

猶予措置もある。ただし「相当の理由」の判定がある

答え: 所轄税務署長が相当の理由があると認め、データの提出と書面の提示ができるようにしていれば、保存時に満たすべき要件が不要になります。

根拠:国税庁の一問一答は、猶予措置の要件として、納税地等の所轄税務署長が相当の理由があると認めること、その電子データについてダウンロードの求めに応じることができるようにしておくこと、その電子データを整然とした形式および明瞭な状態で出力した書面の提示または提出をすることができるようにしていることを挙げ、これらを同時に満たす場合に保存時に満たすべき要件が不要になるとしています[2]。

「相当の理由」がどこまで認められるかは個別の判断になります。当サイトでは判断の基準を示した公式の記載を確認していません。自社が該当するかどうかは、所轄の税務署または顧問税理士にご確認ください。当サイトは個別の税務判断を行いません。

いずれにせよ、猶予措置であってもデータそのものは残しておく必要があります[2]。印刷して原本を捨てる、という運用は成り立ちません。

実務としてまず何をするか

答え: データで受け取るものの経路を洗い出し、保存先を一つに決めることです。

根拠:対象は、データでやりとりした注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などです[1]。

メールの添付、取引先のポータルからのダウンロード、クレジットカードの利用明細、通販サイトの領収書。経路が分散しているほど、抜けが出ます。まず経路を数え、保存先のフォルダを決め、ファイル名の付け方を統一する。この三つで、検索要件が外れる会社であれば実務はほぼ回ります。

支払いを法人カードに集約しておくと、明細の経路が一本にまとまります。カードの選び方は法人カードは何を基準に選ぶかで扱っています。

よくある質問

Q. 紙の請求書をスキャンして捨ててもよいですか? A. それはスキャナ保存という別の制度です[3]。電子取引データ保存とは要件が異なります。国税庁の特設サイトでご確認ください[3]。

Q. 検索要件が外れれば、何もしなくてよいですか? A. 検索要件が不要になっても、改ざん防止の措置とディスプレイやプリンタ等の備付けの要件は残ります[1]。

Q. 事務処理規程はどう作りますか? A. 改ざん防止のための事務処理規程を定めて守ることが方法の一つとして挙げられています[1]。ひな形の有無を含め、国税庁の特設サイトでご確認ください[3]。

Q. 基準期間の売上高はいつの数字ですか? A. 国税庁は「基準期間(2年(期)前)の売上高が5,000万円以下」としています[1]。

Q. 保険の契約関係の書類も対象ですか? A. 対象は、データでやりとりした注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データです[1]。個別の書類が該当するかは顧問税理士にご確認ください。ご契約内容の整理そのものは保険の相談についてからご相談ください。

出典

  1. 国税庁「電子帳簿等保存制度」パンフレット(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023006-085_01.pdf、2026-09-23参照)
  2. 国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和7年6月。https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/03-6.pdf、2026-09-23参照)
  3. 国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm、2026-09-23参照)

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