国民年金を払えないときは、放置せず免除の申請を。未納と免除は別物
基準日 2026年9月23日 ・ 確認 安井義幸
結論(要約回答)
払えないまま放置する「未納」と、申請して承認を受ける「免除」は、年金の計算上まったく別の扱いになります。免除には全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があり[1]、承認された期間は老齢基礎年金の受給資格期間に算入されます[1]。さらに年金額にも反映され、全額免除の場合でも保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1が反映されます[1]。一方の納付猶予は、20歳以上50歳未満の方が対象で、本人・配偶者の所得基準で判定されます[1]。受給資格期間には算入されますが、年金額には反映されません[1]。あとから納める追納は、追納が承認された月の前10年以内の免除等期間について可能です[2]。ただし、免除・納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます[2]。つまり、早く追納するほど負担は軽くなります。
結論の一覧表
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 免除の区分 | 全額、4分の3、半額、4分の1の4種類 | [1] |
| 対象 | 本人・配偶者・世帯主の前年所得が一定額以下の方、または失業した方 | [1] |
| 免除と受給資格期間 | 承認された期間は受給資格期間に算入される | [1] |
| 免除と年金額 | 全額免除の場合、保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1が反映される | [1] |
| 納付猶予の対象 | 20歳以上50歳未満。本人・配偶者の所得基準で判定 | [1] |
| 納付猶予と年金額 | 受給資格期間には算入されるが、年金額には反映されない | [1] |
| 追納できる期間 | 追納が承認された月の前10年以内の免除等期間 | [2] |
| 加算額 | 承認を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に追納する場合、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされる | [2] |
| 追納の順序 | 原則として古い期間の保険料から納付する | [2] |
未納と免除は、まったく違う扱いになる
答え: 免除は申請して承認を受ける手続きです。承認されれば、受給資格期間に算入され、年金額にも反映されます。
根拠:日本年金機構は、免除が承認された期間について、受給資格期間に算入されるとし、年金額への反映は全額免除で「保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1」としています[1]。
払えないまま何もしなければ未納です。未納の期間は、受給資格期間にも年金額にも入りません。同じ「払っていない」でも、申請の有無で結果が大きく変わります。
対象になるのは、本人・配偶者・世帯主の前年所得が一定額以下の方、または失業した方です[1]。学生、生活保護受給者、障害年金受給者は別の制度の対象とされています[1]。
4種類ある。全額でなくてもよい
答え: 全額、4分の3、半額、4分の1の4種類から、所得に応じて判定されます。
根拠:日本年金機構は、免除の区分を「全額、4分の3、半額、4分の1の4種類」としています[1]。各区分で納付額が異なり、令和8年度は4分の3免除で4,480円、半額免除で8,960円、4分の1免除で13,440円です[1]。
所得が少し下がっただけでも、一部免除の対象になる場合があります。全額払うか払わないかの二択ではありません。
なお、一部免除の場合は、決められた額を納めなければ未納として扱われます。承認された区分の保険料は納める必要があります。
納付猶予は「年金額に反映されない」
答え: 受給資格期間には算入されますが、年金額には反映されません。
根拠:日本年金機構は、納付猶予について、20歳以上50歳未満の方が対象で、本人・配偶者の所得基準が適用されるとし、受給資格期間には算入されるが年金額には反映されないとしています[1]。
免除との違いはここです。免除であれば全額免除でも2分の1が年金額に反映されますが[1]、納付猶予はゼロです。将来の年金額を考えると、免除に該当するならそちらのほうが有利になります。
どちらに該当するかは所得の基準によります。市区町村または年金事務所にご確認ください。
追納は10年以内。3年度目から加算がつく
答え: 追納が承認された月の前10年以内の期間について追納できます。ただし3年度目以降は加算額が上乗せされます。
根拠:日本年金機構は、追納について「追納が承認された月の前10年以内の免除等期間について追納が可能です」としています[2]。そして「免除・納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合には、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます」としています[2]。追納は原則として古い期間の保険料から納付します[2]。
10年という期限があるため、放っておくと追納できなくなります。そして2年度目までなら加算がつきません[2]。資金に余裕ができた時点で、古い期間から順に埋めていくのが基本の動きです。
免除の期間と納付猶予・学生納付特例の期間がどちらもある方は、納付する順序について年金事務所に相談するよう案内されています[2]。
老後の年金額に、そのまま効いてくる
答え: 免除や猶予の期間があるかどうかで、受け取る老齢基礎年金の額が変わります。
根拠:免除が承認された期間は年金額に反映され、全額免除でも保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1が反映されます[1]。納付猶予は年金額には反映されません[1]。
自営業から法人成りした方、独立して間もない時期に国民年金だった方は、この期間が残っていることがあります。追納できるのは10年以内なので[2]、まず自分の記録を確認するところからです。
老後に受け取る額の設計は、繰下げの判断とも関わります。年金は繰下げたほうが得かをご覧ください。
よくある質問
Q. 失業した場合も対象になりますか? A. 日本年金機構は、対象として本人・配偶者・世帯主の前年所得が一定額以下の方、または失業した方を挙げています[1]。手続きは市区町村または年金事務所にご確認ください。
Q. 学生の場合はどうなりますか? A. 学生は別の制度(学生納付特例)の対象とされています[1]。詳細は日本年金機構のページでご確認ください。
Q. 追納しないとどうなりますか? A. 免除の期間は年金額に一定割合が反映されますが[1]、納付猶予の期間は反映されません[1]。追納しなければ、その差は残ったままになります。
Q. さかのぼって申請できますか? A. 申請できる期間については、本記事で参照した資料の範囲を超えるため扱いません。年金事務所にご確認ください。
Q. 障害年金や遺族年金にも影響しますか? A. 障害年金・遺族年金には保険料納付要件があります。働けなくなったとき、公的な支えはどこまで届くかおよび遺族年金はいくら出るかをご覧ください。未納のまま放置すると、将来の年金額だけでなく、万一のときの保障にも関わります。
出典
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」(https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html、2026-09-23参照)
- 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」(https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150331.html、2026-09-23参照)